「いいや、なんでもないさ」
なぁ恭也、おまえは俺とは違う。
今も昔も……そうやって荒ぶりながらも真っ直ぐで。
桁違いの能力を持っていながら、それをちゃんと自分のものにして……どこへ行っても自分を見失わない強さがある。
俺は結局、口だけだ。
いつも建前だけで生きてきた。
だから大切なものが出来てもなかなか気づけない。
やっと気づいたときには、もう……失ったあとだったりするんだ。
「……雪、テメーなに考えてやがんだ」
「だからなんでも、」
「ないって顔じゃねぇだろ。昔のおまえになってんぞ、今」
ぴたり、と動きが止まってしまう。
いつもの俺のようにそうか?と軽く誤魔化せばいいのに、姫ちゃんがいないこの状況では笑うことも出来ない。
最近はこんなふうに自分のことを考えることはなくなっていたのに。
……いや、それも……姫ちゃんがいたからか。
姫ちゃんに、重ねていたのか。
俺は──あの子の面影を。



