「なぁ」
「うん?」
「いなくなんなよ」
頼むから、とあたしをいっそう強く抱きしめた恭弥に、胸がぎゅっと押し潰される。
わりと察しがいい恭弥のことだから、きっと本人も自覚がないうちにどこかで気づいているんだろう。
……あたしが、消えようとしてることに。
でも、それでも、みんなを守りたいから。
「大丈夫だよ、ずっといるよ」
ほんの少しの嘘は、許してよ恭弥。
あたしだって、出来ればずっとみんなの仲間でいたいんだ。
「ねぇ恭弥、聞いて」
「……あ?」
「恭弥は強いから、きっとこれからもみんなを守ってくれると思うけど」
それでもキミがこうして辛い時、誰かに頼る勇気を持てなくちゃ意味がない。
だから自分が世界の中心にいるなんて思わないで。
そしてどうかあたしのようにはならないで。
「恭弥は、ちゃんと恭弥のことも大切にしてあげてよ」
「……んだそれ」
「約束して」
自分を大切にするって、約束して。
「……じゃあ、お前もしろ」
「え?」
「お前は……カノカは、カノカを大切にするって約束しろよ」
思わぬ返答を食らって、一瞬たじろぎながらも頷く。
大切にする、か。難しい約束だな。
「いいよ、じゃあ約束ね」
守れるかどうかは、わからないけど。
そっと恭弥から離れて、拗ねたような顔をしている恭弥の小指を無理やり掬いとる。



