「……どうしたの、じゃねぇよ……」
恭弥はその手を上から握りしめて、ひどく苦しそうな声を絞り出した。
やっぱりいつもの恭弥じゃない。
どこもかしこも恭弥らしくない。
「泣きそうな、顔、してる」
なにがあったの?なんて、あたしが聞けたことでもない。
それでも、もしあたしが眠っている間にあいつがまたなにかしたのかもしれない。
恭弥を傷つけるようなことを。
そう思うと、不安で堪らなくなる。
……やっぱりだ。
あたしは自分の事よりも、みんなが傷つけるようなことになる方がずっと辛いんだ。
「恭弥」
「っ……お前がっ」
「うん」
「お前が、……なくなるからだろ」
「え?」
あんまりに苦しそうに言うから、うまく聞き取れなかった。
けれど、次の瞬間、恭弥にぐいっと力強く抱き寄せられる。
なん、で……?
思わず目を見開くと、恭弥はあたしの首筋に顔を埋めて「くそっ」と言葉を落とした。
「ワケわかんねぇ……」
「恭弥?」
どうしてそんな苦しそうなの?
恐る恐る背中に手を回してみると、恭弥の体はわずかに震えていた。



