「花乃香に手を出したら、ただじゃおかない」
咄嗟に出たその言葉は、自分でも驚くほどはっきりとした声音で放たれる。
「必死やなぁ。そんなに大事なんか、あの子が」
「──そんなの、当たり前だろ。同じチームの仲間なんだから」
「へえ? そんだけか?」
……違う。
たしかに俺は、花乃香が……このチームのみんなが大事だ。
大切な仲間。
今まで人と関わることを好んでこなかった俺が、自分から関わりたいと思っているメンバーたち。
でも、花乃香は。
あの子は、初めて見たあの瞬間から……。
ふと脳裏に浮かんだのは、入学式で壇上にあがる少女の眩しすぎる笑顔。
彼女は俺よりもずっと小さくて、華奢で。
でも、不思議と頼もしく見えた。
今まで見てきたどんな子よりも、地に足をつけて前だけを見て進んでいるような気がした。
俺にはないものを、彼女は持っていた。



