「……あたし、今日は先に帰るから」
「はぁ?」
「え、ちょ、カノちゃ……」
足にしがみついている日向を抱き上げて、戸惑った様子のユキちゃんに預ける。
日向も日向で、あたしの違和感には気づいているようで、今にも泣きそうな顔で抱っこを求めてくるけれど、
「ごめんね、日向。今日はユキちゃんと帰ってきて」
心苦しいけど、今は一人になりたいから。
あたしは踵を返して教室を出る。
「っ……、かのか」
背中に日向の縋るような声が聞こえてくるも、振り向かなかった。
教室の外で、壁に寄りかかって話を聞いていた哲平にも気づかなかったあたしは、たぶん自分でも相当動揺していたんだろう。
ひどく胸が苦しくて、今にも泣きそうになりながら、早足でその場を去ったのだった。



