「……趣味がわるいんじゃない?」
揃いも揃って人の話を盗み聞きなんて。
あたしが怒ったと思ったのか、柚くんは慌てたようにぶんぶんと首を振った。
「違うんだよ、あのね、恭ちゃんがどうしても迎えにいくって聞かないから!」
「はぁ!? おまえが『あ〜今頃カノちゃん、何されちゃってるんだろ〜』なんて言い始めたんだろうが! 人のせいにすんじゃねえ!」
「事情も聞かないで飛び出していったのは恭ちゃんでしょ〜? 僕はちゃんとお利口に待ってたし? ねー、律」
「……俺は、心配だったけど」
いつものようにはじまった口喧嘩に、ユキちゃんが深ーいため息をつく。
こうなる度に、彼の心身にストレスがかかっているんじゃないだろうか。
……っていうか、
「みんなが心配してくれたのは分かってるよ。でも、それとこれとは話が別」
わざわざこんな隣の部屋に息を潜めて、あたしたちの話を隠れて聞くなんて、普通に気分がわるい。



