だいたい、お、女なんて面倒なだけだ。


顔が良いとか待遇が良いとか身分が良いとか、そんな事ばかりに惹かれて近づいてくるくせに、俺の性格を知った途端に表を返したように散っていく。


カノカのように、離れるどころか、いちいちぴーひゃかぴーひゃか言い返してくる奴なんて、今までいなかった。


……だからってわけじゃねぇ、けど。



「あいつに手ぇ出すなよ、オマエら」



あのアホみたいな顔が曇るのは、無性に気分が悪い。


日向の相手をしながら、自分の体調が悪いことにすら気付かずに、ガーディアンとして足を踏ん張る。


そんなバカだから、俺はあいつを守らねぇといけないような気がしてくるんだ。


雪と柚は、鳩が豆鉄砲をくらったような顔で俺の顔を凝視。


律は相変わらずしれっと涼しい顔をしていて、話を聞いているのかすらわからない。



くっそ、と心の中で毒づいた。


言い慣れていない誰かを庇うような言葉。


小っ恥ずかしいを通り越して、猛烈な羞恥に襲われる。


ぐるっと踵を返して、俺は逃げるようにマスター棟を後にした。