「ユキちゃんたちは? まだ帰らないの?」
仕方なく話を振ると、恭也は「あぁ?」といちいち凄むような声で返しながら頭を掻いた。
「知らねー。でもそろそろ帰ってくんじゃねぇの。もう夕方だし」
「え、嘘、もうそんな時間? あたしそんな寝てた?」
「寝てたわ。ばっちり6時間くらい寝てたわ。お前はガキか。日向か」
ガキ、という言葉に体がガクンと強張るのがわかった。
恭也が怪訝そうに眉間に皺をよせる。
……だめだな、あんな夢をみたあとじゃ。
あたしはふるふると首を振って、日向を抱きかかえながらベッドルームを出る。
日向はだいたいここで昼寝をする。
最近どうにも寝不足だからか、どうやら寝かしつけているうちにあたしも一緒に寝てしまったらしい。
……しかしまぁ、あまり寝た気がしない。
「ホットミルクでも飲むかな」
「んだよ、調子狂うな。具合でも悪いのか」
恭也の横を素通りしてキッチンへ足を向けると、不機嫌な声音が追いかけてくる。
なんだ、ホントに心配してくれてるんだ。