「お、ま……っ、なにすんだよ!!」


「あんたが寝込みを襲うからでしょ!? アホ! 変態!」


「はあ!? 俺はお前がうなされてたから、心配して起こしてやったんだろうが!」



え、心配?


きょとんと目を丸くすると、恭也ははっとしたように口を押さえた。


どうやら墓穴を掘ったらしい。



「……カノカ」



不意に腕をつかまれた。


見れば、隣で眠っていたはずの日向がうつらうつらした顔で、こちらを見上げている。


どうやら起こしてしまったらしい。



「わ、日向ごめんね。うるさかったね」



恭也のことなんて一瞬で頭のなかから放り出し、日向を抱えあげて膝の上にのせる。


まだ眠たかったのか、あたしに抱きつくように寄りかかって、日向はまた柔いシルクのような瞼を伏せた。


よかった、ぐずらなくて……。



「チッ……」



ほっとしていたら、ここぞとばかりに恭也の舌打ちが飛んでくる。


そんなに構ってほしいのか、この男……。