「やりすぎはお前だよ、恭也。アホめ」
「こうでもしなきゃ、今頃あのチビスケぶっ飛ばされてただろうが」
先ほどから全く動いていないユキちゃんは、少しも動じずに肩をすくめる。
ふん、と鼻を鳴らして、恭也がこちらを振り返った。
「……おー、柚。今のけっこー良い動きだったんじゃねぇの。よくもまあここからそこまでガキ抱えたまま跳べるな」
「でっしょー? まあ僕の素早さと跳躍力は別格だから、これぐらいどうってことないんだけど。恭ちゃんもさすが荒いよねー」
「いやそれ褒めてねーだろ」
けらけらと笑う柚くんと、いつもより若干素直な恭也。
辺りは騒然としているのに、ふたりはいつも通りの雰囲気で、あたしは日向を、そしてユキちゃんを交互に見つめる。
「またそんな顔してるな」
その視線に気づいたのか、ユキちゃんはふっと目元を緩めて、こちらへ近づいてきた。
目の前で立ち止まると、あたしと日向の頭をぽんぽんと優しく撫でて笑った。



