「ってぇなぁ……。これはちょっとやりすぎなんじゃねぇの?誰か知らねえがよぉ」
地の底から湧き上がるような低く怒りのこもった声に、あたしははっと目を開ける。
「恭、也」
不機嫌オーラマックスで恭也が立っているのは、つい今しがた日向がいた場所。
その右壁には、今の轟音の正体であろう、授業で生徒が使っている机がこれでもかというほどにめり込んでいた。
恭也は右手を数回振り払う。
その仕草を見て、あたしはハッと日向のことを思いだした。
「日向!」
「カノちゃん、日向はこーっち」
「え?」
すぐ後ろからした柚くんの声に、あたしは驚いて振り返る。
柚くんの腕の中には、カチコチに硬直している日向の姿が。
「安心して、ちゃんと無事だよ。怪我とかないから。なにせ僕が守ったからねえ」
はいっ! と笑顔で日向を手渡されて、あたしは茫然と立ち尽くしながら日向を抱きしめる。
ちょっと待って。
今の一瞬で、なにが起こったの……?



