「なになに~? なんか楽しそー!」
「お、喧嘩か? なら俺様の出番だな」
そんな場面に柚くんと恭也はらんらんと目を輝かせていて、ユキちゃんがやれやれと嘆息する。
このふたり、全然違うように見えて案外根っこは同じタイプだ。
「……柚、飛び込んでいくなよ」
「分かってるけど……でもさあ、楽しそうなんだもん。ちょっとだけ、ね? ねー?」
柚くんのフードを掴んで制止する律くんは、相変わらず冷静沈着。
ポーカーフェイスは崩さない。
というか、ものすごく眠そう。
「恭也、あたしたちだって規約は適応されるんだから、派手なことしないでよね」
「わーってるよ。でも、アレだろ。ああいうのを俺らは取り締まりゃいいんだろ」
「まぁそうだけど、別に相手の人規約違反はしてないよ。そこらに転がってるやつはあの人が投げたんだろうけど、凶器とは言い難いし……」
筆記用具各種をはじめ、教室に置いてあるごみ箱やらボード消しが廊下のあちこちに転がっている。
「ユキちゃん、ちょっと日向をお願い」
「え? あ、あぁ」
嫌がる日向をなだめて少し待っているように言ってから、あたしは未だ言い争っているふたりへ歩み寄っていく。
途中散乱したそれらを拾い集めていると、ふと桂と呼ばれた男があたしに気づき、振り返った。
言い争っていたもう片方も「あぁ?」と凄むような声を出しながら、こちらへ目を向ける。
けれど、ふたりはあたしを捉えた瞬間驚いたようにその目を見開いた。



