「柚、」
「!!!」
ぱくっ!
「俺はまだなにも言ってないだろうが……」
取り出した途端にパクつかれ、ユキちゃんはげんなりしたようにペロペロキャンディを離す。
「んまい」
「あまいかうまいか知らんが、とりあえず俺がやるって言うまで食いつくな。キャンディだってそんなに何枚もないんだから」
それは無茶ってもんだよ、と柚くんは途端に機嫌を直して屈託なく笑った。
律くんも暴走癖が収まったのを確認し、柚くんをぽいっと宙に放る。
「もー、律ー。僕のことゴミみたいに投げないでっていつも言ってんのに~」
そんなことを言いつつ、軽く空中を飛んだ柚くんだったけれど、そこはもちろんなんなく着地して、あたし達の元へ戻ってくる。
「ペロペロキャンディ喉に刺さるとけっこう痛いんだからねえ?」
いや、それは普通にあぶない。
普通ならありえないから。うん。
「ま、いいや。カノちゃん行こ! オシゴトの時間だよ~♪」
「う、うん……」
とりあえず甘いものを与えておけば、柚くんに関しては攻略出来るような気がする。
まるで女の子同士のように腕を組まれて戸惑いながら、あたしは柚くんに引っ張られるようにして、学園へ向かう。
────しかし、それにしても、律くんの馬鹿力と反射神経には毎度のことながら感心するなあ、と他人事のように思いながら、あたしはくすりと笑った。



