「これには学園の生徒たちのデータが入ってるんだ。諸々な」
「機密じゃねえか」
「ああ。だからパスワードがいるんだよ」
「そのパスワードってのは?」
「日向が知ってる」
「え、日向?」
一同の視線が日向へ集中した。
いまだ日向はあたしにしがみついたままで、いっこうに口を開こうとしない。
「落ち着いてから、っぽいねぇ」
柚くんがご機嫌をとるように日向へチョコレートを差し出したけれど、まるで無視だ。
しょぼんと肩を落として、柚くんは自分の口にそれを放り込む。
「僕、綺麗なお姉さんには好かれるんだけど、子どもにはなぜか嫌われるんだよねえ……」
「うさんくせーからだろ」
「もう、恭ちゃんうるさい。嫌い」
「俺は嫌われんのは慣れてんだよ」
相変わらず相性が合わないらしいふたりを、律くんとユキちゃんが咎めたけれど、2人はずっと青い火花を散らしたまま。
「ほんっと、恭ちゃんって俺様だし自分勝手だしうるさいし馬鹿だよねぇ。あー、怖い怖い」
「あぁ? 誰に向かって口聞いてんだガキ。お前のその多重人格ぶりの方が恐ろしいわ。同じチームとか虫唾が走るっつの」
口喧嘩はどんどんヒートアップしていき、またたくまに戦闘態勢へ。
しまいには手近にあるものを投げ合いはじめたふたりに、あたしは深い溜息をつく。
隣にいたなっちゃんも、つられるように溜息を吐いて、頭の後ろを掻いた。
「苦労すんな、リーダーさんよ」
……ええ、本当に。



