日向は今年になるまで、学園の裏にある屋敷で暮らしていたらしい。
ほぼ外に出ることもなく、毎日決まった時間に決まったことをなぞる生活。
そのなかで日向は日々、あの目も眩むような機械たちに囲まれながら、与えられた仕事を淡々とこなしていた。
日向のあの光を失った瞳を初めて見た時、あたしはこの子から生きている人間が持つ光の灯を感じなかった。
今でもまぶたに焼き付いている。
まるでこびりつくみたいに。
───あたしは確信を持って言える。
あの日向を作り上げたのは、大人だ。
この子の周りで、この子に不条理なことをさせてきたろくでもない大人たちだ。
「ねぇ、日向」
「……ん?」
だから、あたしは。
「頑張ったね」
この子を守らなければならないと思う。
出逢ってしまった限り。
……ううん、もしかしたら出逢うべくして出逢ったのかもしれないけれど。
どんなに日向が天才でも、あたしと同じ運命を辿らせはしない。
日向をぎゅっと抱きしめて、あたしはもう一度「よく頑張ったね」と呟いた。



