「カノカ、だっこ」
エレベーターの中で、あうあうとぐずりながら紅葉のような手を伸ばしてきた日向に、あたしはくすりと笑った。
どうやら日向はまだガーディアンのメンバーに慣れないらしく、あたしと二人でいる時以外は常にくっついていようとする。
おかげでずいぶん腕の筋肉が鍛えられた。
「日向、みんなのこと怖いの?」
小さな体を抱き上げながら問うと、日向はきゅっと唇を引き結んで小さく頷いた。
その様子に、あたしは胸が締め付けられる思いがして。
ここ数日間かけて読んでいる日向の説明書の内容が頭を過ぎった。
あれには、矛盾が連なっている。
ひたすらに。読み進めれば進めるほど。
この世に生まれでて、まだたった5年の男の子の人生とは到底思えないのだ。
人ひとり、生涯分の重みがある。
たった5年の間に、そのくらいの重みを日向は背負ってきていた。
期待だとか、責任だとか、プレッシャーだとか、そういうえも知れぬ恐怖を、日向はこの年で背負わなければならなかったんだ。
きっと、いつも、ひとりで。



