「……そういえば日向、大丈夫かな」
不意に気になり、手もとをとめて顔をあげる。
寮に着いたあと、あたしたちは荷物の片付けや休憩もかねて一旦解散した。
日向も自分の部屋に戻りたいというので、同じ階だったあたしがきちんと部屋まで送ったのだけど、それから音沙汰がない。
あの甘えんぼ日向のことだし、すぐに『抱っこ』と来そうなものなのに。
なんだか不安になってきたあたしは、持ってきていたふわもこスリッパに足を突っ込んで小走りで部屋を出る。
鍵をしめるのも忘れて、奥ばった廊下の突き当たりにある日向の部屋まで行くと控えめに扉をノックする。
しばらく待っても返事がないので、今度は「日向〜?」と呼びかけてみた。
……それも、返事がない。
途端、胸がそわそわと騒ぎ出す。
なにかあったんじゃ、という考えたくもない不吉な考えが脳裏を掠めた。
「日向? 開けるよ?」
居ても立ってもいられずノブを回し押すと、扉はガチャッと音を立ててなんの抵抗もなく開いた。
けれど、それに驚くよりも前に、あたしは視界にはいった光景にノブを握ったまま呆然とその場で立ち尽くす。
「え……?」
一面、びっくりするくらい真っ白な部屋だった。
壁も、床も、家具も、なにもかもが純白のごとくただ真っ白に染めあげられたリビングに、思わず絶句してしまう。
なに、これ……?
広すぎるリビングルームに置いてある家具は、ふたりがけのソファと丸型のテーブルのみ。
ダイニングキッチンもとにかく色味がない。
ただただ一面雪のような、真っ白な空間が永遠と広がっている。
あまりにも衝撃を受けるその光景に茫然自失となりながらも、あたしは恐る恐る中へ足を踏み入れて、姿の見えない日向を探した。



