危機が去ったと判断したのか、ピョンッとユキちゃんから飛び降りた日向が、こちらへトタタタッと駆け寄ってきた。
「……カノカ、抱っこ」
両手を伸ばして潤んだ瞳でだっこをせがんでくる。
それにしてもいま当たり前のように飛び降りたけど、ユキちゃんはメンバーのなかでもいちばん背が高いし、抱かれていた日向からしたら相当な高さがあったはずだ。
やっぱり日向も、理事長の孫だからという理由だけでなく、ちゃんとマスターコースに入ることができるくらいの身体能力は兼ね備えているのかもしれない。
日向を抱き上げながら、この歳で末恐ろしいな……と肝を冷やした。
「さ、俺たちも行こうか。な?」
あたしたちでも理解が追いつかない現状については、もはや見なかったことにしようという空気が流れ始める。
────なにせここは、かの有栖川学園だからな。
────世の中には特殊な人間がいるんだから。
────仮にこれが世間へ出れば、研究材料としてアイツは利用されかねねぇからな。
声には出さないものの、3人で無言でうなずき合う。
日向はあたしに抱かれて安心したのか、早くも身体をもたれかからせて眠りに落ちていた。



