「律ね、動物と話せるんだよ」
は、はいっ?
あまりに次元を超えた話に何も言葉が出てこないあたしたちのとなりに並びながら、柚くんが能天気に笑った。
「ほら、熊がおすわりしてる」
「お、おすわり?」
その言葉にバッと前方へ顔を戻すと、確かにさっきまであんなに唸っていた熊が嘘みたいに律くんの前でお座りを……ってえええええっ!?
「なっ、ななななっはいぃ!?」
「ところで、ここら辺に俺たちの寮があるはずなんだが……どこか知らないか?」
驚いて口が半開きになっているあたしたちをもろともせず、律くんは今も現在進行家で熊と会話をかわしていた。
そして、のそり。
律くんの言葉に身体を起こした熊は、まるでついてこいとでもいうように、あたしたちの横を抜けてゆっくりと歩き出す。
「……案内してくれるって」
そして何食わぬ顔で律くんはあたしたちの元に戻ってくると、優しい眼差しで歩いていく熊の背中を眺める。



