「お、おはよう、翼!」


無駄に大きな声であいさつをすると、優しく唇の端を上げた翼は、ただひと言。


「ああ」


どんな話をしても、どんな関係になっても、翼の朝のセリフは変わらない。

それが、嬉しい。


「一緒に学校行ってもいい?」

「いいよ」

「いいの!?」


今までが今までだから、断られる予感が8割を占めていたのに。


「いいよ。お前が大丈夫なら」


きっと、学校が近づくにつれて校内の生徒は周りに増えてくる。

翼を好きな子たちに、何かを言われるかもしれない。

それが、怖くないわけじゃない。

それでも。


「あたしはいつでも大丈夫だったんだよ」