待ち合わせ場所は、遊園地前の駅。

改札を出てからキョロキョロしていると、後ろから名前を呼ぶ声が聞こえた。


「内海、こっちだよ」


ポンッと肩を叩かれて、振り返る。


「小嶋くん、おはよう……。後ろ姿なのに、よく分かったね」

「うん、分かる。普段からよく見てるから」


ニコッと笑って告げられた言葉に、あたしは返事が見つからなくて、赤くなってうつむいた。


――『デートしてくれたら、話聞くよ』


それは、つまり、この後あたしは、小嶋くんのことを……。

なのに。

そんな顔をしないで。


半袖を着て、剥き出しになった傷あとを無意識にさわる。


「行こう、時間もったいないよ」

「あ、うん」


小嶋くんに急かされて、あたしは遊園地の方へと足を進めた。