サヨナラも言わずに


「これは多分なんだけどさ。里穂がどれだけ頑張ったとこで、美琴は起きないよ。美琴はあんたに復讐したいだけ。ともなれば、篠宮旭を使う以外に美琴が目覚めることはないんだ。それだけ、美琴は生きたいって思っていない」



いきなり真面目なトーンで話し始めたもんだから、つい真剣に聞いてしまった。



……篠宮旭、おそるべし。



簡単に言えばさ、篠宮旭が今の沢田の生きる意味っつーことだろ?


篠宮旭がいなかったら生きてないわけで。



しかしなぁ……


これは喜ぶべきなのか、そうでないのか、微妙な気分だ。



「旭、さっさと乗ってくれる?」


「あ、悪ぃ」



いつの間にか駐車場に着いていたらしく、俺は急いで助手席に乗り込んだ。




素直に我慢して一週間。


ガチでお見舞いに行かなかった。



……行きたくてしょうがなかったけどな。



ちなみに、里穂さんから、沢田が目を覚ましたって連絡はなかった。



「旭ーっ!」


「うっせー、クソババア!」



俺は部屋の外に向かって叫んだ。



今考えごとしてんだよ、呼ぶんじゃねぇ。



「親に向かってなんつー口の利き方しやがる」