サヨナラも言わずに


でも、まぁ……この状況で沢田が目を覚ましたら最悪だな。


目が覚めて隣にいるのが、里穂さんじゃなくて、俺だから。



「黒瀬くん、ありがとう」



しばらくして里穂さんと母さんが戻ってきた。



「いえ、俺は別に」


「お、やっぱ間違いない。あの美琴だったか」



は?


なに言ってんの、このババア。



「中学のときとなんら変わりないなぁ」



いや、全然ついてけねぇんだけど。



「旭、あんたは自分の親の職業も知らないか?」



見かねた母さんがそう言ってきた。



親の職業?


なんだっけ……



って、あ。



「中学の養護教諭……」


「気付くの遅いなぁ」



そういうことか。


中学時代の沢田を世話してた、ってことだろ。