サヨナラも言わずに


「うん。ありがとう」


「キザだなぁ。お前、どこの子だ」



せっかく決まったんだから、水指すなよ、ババア。



どこの子って、あんたの子だ。



「さっさと行けや、ババア」


「はあ?あたしと里穂、二つしか変わんないんだけど?」



マジか。



いや、まあ後輩って時点でそれくらい予想できるんだが。


つまり四十代ってことだろ?



全然見えねぇんだけど。



「なに、もしかしてあんた、里穂に惚れたか?」



なにを言いやがる、このババアは。



「弥生先輩、それはないです。黒瀬くん、私の娘のことが好きなんですから」



里穂さん、それはフォローになってない。


むしろ、墓穴掘ってる。



「え、待って。里穂の子供って女の子?」


「あれ、言ってませんでしたか?沢田美琴。正真正銘の女の子です」


「へぇ……知らなかった。って、旭。好きな子の隣にいるからって、間違ったことするなよ?」



ババアはこの手の話が好きなのか?


めちゃくちゃニヤニヤしながら言ってきた。