十分後、母さんは駐車場に車を止め、俺のほうに歩いてきた。
「で?病室、どこ」
なんで、そんなに不機嫌なのかが知りてぇっての。
面倒なら断わりゃいいのに。
「こっち」
なんて文句が言えるわけもなく、俺はおとなしく沢田の病室に連れて行った。
「弥生先輩!」
病室に入った途端、元気そうな沢田の母親が出てきた。
さっきまであんなに弱ってたのに……
「里穂(りほ)?旭が言ってた友達の母親って里穂だったの?」
沢田の母親は里穂と言うらしい。
今、初めて知った。
「少し外で話してこいよ。久しぶりに会ったんだろ?」
「黒瀬くん、ありがとう」
里穂さんはそう言って優しく微笑んだ。
「旭、里穂の変わりに友達のそばにいてあげろよ」
「あたりまえだ」
それ以外に、俺に出来ることなんかねぇんだから。
「黒瀬くん、なにからなにまで、ホントにごめんね」
「いえ、こういうときはありがとうって言ってください」



