サヨナラも言わずに


どうしたら、俺の前で笑顔になってくれるのか……?


俺、お前の笑顔が好きなんだ。



お前が笑っていられるなら、俺はなんでもする。



だから、目を覚ましてくれ……



だが、どれだけ強く願ってもこいつには届いていない。



届いてたとしても、こんなこと言われたら起きにくいかもしれない。


だとしても、言わずにはいられなかった。



自分の気持ちを押し付けすぎてるかもしれない。



というか、確実にそうだ。



これなら避けられるのも、無理ない。


俺としては、こいつに避けられるのは耐えられない。


となれば、この気持ちは黙って隠し通すしか、手段はない。



気持ちも我慢する。


沢田の味方もする。



あとはなにが足りない?



「黒瀬くん、ありがとう。これ、どうぞ」



数分後、戻ってきた彼女にお茶を渡された。



「いえ、こちらこそありがとうございます」



俺がそれを受け取ってから、病室に静寂が訪れた。