サヨナラも言わずに


こうなったら、話すべきか?



だが、どこまで話せば……



「やっぱ、知らないかぁ……担任として、知っときたかったんだけどな……」



若宮は声のトーンを落とした。


そこまで沢田のこと、思ってんなら……少しくらいいいだろ。


聞かれたことだけ答えてやる。



「あいつがなんで入院してるかが知りたいんだよな?」


「え?あ、まぁ……」


「あいつ、自殺しようとしたんだ。リストカット。で、ホントはもう目を覚ましてもいいころだっつーのに、まだ目を覚まさないから、入院してる」



これだけ言えば十分だろ。


若宮は動揺してるし。



ま、今の教え子が自殺しようとした、なんて知ったらどうすればいいかわかんねぇだろうけど。



「なんで自殺なんか……」



原因、か……


こればっかりは俺の憶測になるしな……


沢田本人に聞いたわけじゃねーから。



「それは知らねぇ」


「そっか……ありがとう、黒瀬くん」



礼を言われるようなことをした覚えはない。


だが、若宮にとってはそれだけのことだったのだろう。