サヨナラも言わずに


「なんで先に帰ろうとしてるの?」


「…………別に」



ホントの理由は、言わないほうがいいんだろう。


つーか、そっちのほうがややこしくならずに済む。



「冷たいなぁ……ま、あと少し待ってて。すぐに準備してくるから。車で行ったほうがいいだろ?」



くそ、断りにくい誘いかたしやがって。



この学校から沢田が入院してる病院は、それなりに遠い。


昨日までは家から行ってたから、特に気にはしてなかった。



だが、学校からならバスとかを利用して行かなければいけない。


つまり、車で行くほうが金もかからないから、できるならそっちのほうがいい。



「よし、お待たせ。行こうか」



俺は若宮の車の助手席に座り、シートベルトを着用した。



それをちゃんと見た若宮は運転を始めた。



「黒瀬くんは、どうして沢田さんが入院してるか、知ってる?」



なぜそれを俺に聞くんだよ。


担任ならそれくらい……知ることできねぇか。



自殺未遂なんて事件、学校は隠蔽したいに決まってる。


そうなれば、若宮はなにも知ることができない。