サヨナラも言わずに


……誰が教えたんだ、そんなこと。


俺の停学中の行動を、把握している生徒がいたってことだよな……



ていうか、毎日見舞いに行ってるってことを知っておきながら、停学中に家から出たことを注意しないんだな。



まあ、そんなことは今、どうでもいっか。



「なんであんたなんかと」



俺だけの特権だったんだ。


ほかのヤツと行きたくねぇ。



「だって、いきなり僕が行ったら変だろ?だからさ。それとも、今日は行く予定じゃなかった?」



新しく担任になった、とでも言えばいいじゃねーか。



ま、こんな中途半端な時期の担任替えだから、説明が面倒なのはわかるが。


だが、それは一人で行こうが、俺と行こうが一緒だろうが。



──キーンコーンカーンコーン……



「あ、予鈴!とにかく、今日の放課後よろしくね!」



若宮はそう言って、どこかに走っていった。



勝手なヤツだな……




「黒瀬くん!」



脱走失敗。



放課後、先に帰って病院に行こうとしたんだ。


当たり前だろ?


今まで一人であいつのお見舞いに行ってたんだし、今さら誰かと行きたいとか思わない。