サヨナラも言わずに


すると、前の入り口のほうから若い男が入ってきた。


俺の周りに集まっていた女子は、あいつの一言で席につき始める。


うわ、めちゃくちゃ言うこと聞いてんじゃねぇか。


と、俺も急いで座らねーと怒られる。



にしても、あいつが新しい担任、か……



「えー、それでは改めまして。若宮です。よろしくね」



そこそこの顔立ちに加え、優しそうな雰囲気。


人気になるのも時間の問題だな。



「黒瀬くん、話が」



あっさりHRが終わり、俺は若宮に呼ばれた。



「なんですか?」



俺は教室の外に連れ出されたと同時に、そう聞いた。



「あの、君の前の席の、沢田美琴さんって今入院してるんだよね?」



沢田の名前につい反応してしまう。



こいつ、どういうつもりだ……?


って、担任なんだから心配して当然か。



でも、俺から説明することなんてなにもねぇし。



「ほかの生徒に、黒瀬くんがほぼ毎日お見舞いに行ってるって聞いてね。よかったら、今日は僕と行かない?」