サヨナラも言わずに


「ありがとうございました」



あたしがくだらないこと考えてる間にお金を払い終えたらしく、そんな声が聞こえてきた。



「次行こーぜ」



ヤバイ。


なんか、黒瀬がかっこよく見えてきた。



そして外に出たら男女問わず視線があたしたちに集中してる。


女性のみなさんは、黒瀬の横に私が立ってるのが気に食わないのかな。


だから見てるんだろうね。



でも、男の人はなんで?



「美琴が可愛くなったから、みんな釘付けだな。俺もうかうかしてらんねー」



なんの心配してるのよ。


私は黒瀬以外とこんなことする気はまったくないし。



「あ、そうだ。映画、恋愛ものなんだけど、いい?」


「いい?って、それしか見れないんでしょ?」


「そうなんだけどさ、嫌なら違う映画にするから」


「別にいいよ。今観たい映画、ないし」



私たちは映画館があるほうに歩きながら、他愛もない会話を続けた。



「面白かったな、映画」


「うん」



たった今見終えて、感想言い合い中。



って、ホントは内容覚えてないんだよね。



やっぱり、恋愛ものは苦手だな……