サヨナラも言わずに


あ。


いいこと思いついた。



「く……旭、旭。私、可愛い?」



私は黒瀬のとこに行って、顔を下から覗き込むようにして言ってみた。



「っ!」



おおー、ホントだ。


顔真っ赤っかにしちゃって。



ちょっと面白いかも。



「ね、可愛い?」



トドメのように上目遣いで尋ねる。



「わざとだろ、お前」



バレちゃった。


クイッと頭を押され、黒瀬は会計に向かった。



調子に乗りすぎたね。


自分から近づいちゃった。



って、黒瀬が払ってくれるの?


さすがにそれは申しわけないんだけど。



「自分で払うよ」


「男が払うくらいいいだろ。てか、俺が頼んだみたいなとこあるし」



なんと男らしいこと。


これは普通なら惚れるね。



セリフもちゃんときまってるし。