サヨナラも言わずに


なのに、思ってることと真逆の言葉が口から出てくる。



「よし、早く美容院行こーぜ」



私は先を歩く黒瀬の背中を、ゆっくり追った。



「なあ、手……繋いでもいいか?」



少し歩くと、黒瀬は振り返って優しく聞いてきた。



慎重に聞いてきてるから、私の男性恐怖症を気遣ってるのかな。


ホントは嫌だけど、黒瀬なら大丈夫な気が……



って、なにを根拠に言ってるんだろう、私。



男なんて、みんな同じなのに。



「…………ゴメン……」



私の返事を聞いた黒瀬は、少し残念そうな表情を見せた。


そして、やっぱりと呟きながら、また足を動かした。



だけど……


治しとくべきだったな、男性恐怖症。


そしたら、黒瀬と手を繋いだりでき……



あー、もう!


こんなことばっかだよ……


なんで……?



ふと気付くと、黒瀬に申しわけないって思ってる。


私、変なのかな……