サヨナラも言わずに


コップをさげて、どこかに行ってしまった。


説明くらいしてけっての。



俺よりも、美琴のほうが大切ってことが言いてぇのかな。


別にそれでもいいんだけどな。



「旭くん」


「大樹さん。なに?」



ソファーに体を預けて座ってると、大樹さんが呼んできた。



再婚したばっかだから、まだ慣れねーんだよなぁ……


変な気を遣うし。



「弥生がなにしようとしてるか、わかる?」


「さあ……?」


「なんだか僕、嫌な予感しかしないんだよね」



おー、怖い怖い。


それをわざわざ俺に言う必要、あんのか?



「あ、ゴメン。なんとなくだから、気にしないでね」



そう言われると気になるだろーが。



「そうだ、美琴ちゃんって、どんな子なの?」


「なんで?」


「いや、こういう会話、親子っぽいかなって思って」



男二人ではこんな会話しねーだろ。



「美琴ちゃん、前髪長かったよね」