fairy3 空の物語 上

『だから、ちゃんと話してくれ……』

『……私はね』

シアンは、顔を上げると真剣な眼差しを俺に向けた。

『私は、アクを倒す為だけに生まれた存在なの』

『っ!』

その言葉に俺は目を見開く。

『だから、私がアクを倒さないといけないの。他の誰でもない、私が!』

『そんなの誰が決めた!お前一人で、アクを倒せるわけないだろ!』

『でも、私にはその力があるの』

シアンは俺から離れると言う。

『私の使命は、アクをこの世界から消すこと。それ以外に、私の価値なんてない』

俺はシアンの言葉に失望した。

シアンはこんなことを言う奴じゃなかった。

シアンはナデシコに言っていた。

『使命なんて関係ない。嫌だと思ったら、やめてもいい』

でも今のシアンは違う。

自分の使命をまっとうしようと、自分自身を犠牲にしようとしている。

『もしお前がアクを倒した時、お前はどうなるんだ?』

『……』

シアンは俺から目を逸らす。

言いたくなさそうだが、これは何が何でもでも聞かないと駄目なことだ。

『答えろ!シアン!』

俺は怒声でシアンに問いかける。

一瞬怯んだシアンだが口を開くと言った。

『私は……、消えるよ』

そして悲しい笑顔を浮かべて優しくそう言った。

『っ……!』

『使命を成し遂げた私は、消える運命なんだよ』

『なんだよ、それ……』

なんなんだよ……。

なんだよそれ……。

なんでシアンだけ、そんな重荷を背負わされているんだ。

『なんで、お前なんだよ……』

『ソレイユ……』

『なんでお前なんだよ!他にもたくさん妖精がいるんだぞ!なんで、お前だけが……!』

『……』

『もっと、俺たちのこと頼ってくれよ!』

シアンは、首を左右に振った。

『それは出来ない』

『それは、俺たちが弱いからってことなのか?!』

『違う!』

シアンは優しく俺を抱きしめる。

『ソレイユたちを守りたいからだよ。ナデシコみたいに、死なせたくない』

『俺だってお前を死なせたくない!俺は、お前が大切なんだよ……』

俺は、シアンを抱きしめ返す。

『お前が死ぬなんてこと、俺が絶対許さない』

『そんなの無理だよ。だってこれは使命なんだから』

『そんな使命、俺が変えてやる!』

そんなのがシアンの使命だというなら、俺が変えてやる。

シアンは絶対死なせない。

誰も死なせはしない!

『ソレイユ……』

『必ず守るから!』