fairy3 空の物語 上

『無理に思い出しては駄目』

「どうして?」

『……』

その人影は顔を布で覆っていた。

「雪菜!」

「っ!」

私は愛羅君の言葉で我に返った。

「雪菜、大丈夫?」

「う、うん……」

今の記憶はなに?

それに今の人影は……?

初めて会ったのに、凄く嫌な力を感じた。

あれは一体……。

『ねぇ、そこのリズムってやつ』

「え?」

私の体から青い粒の光が浮かび上がる。

「な、なに?!」

『この気配は……、もしかして』

青い光の粒の中からシアンは姿を現した。

『空の妖精……シアン?』

シアンはリズムに近づくと、思いっきりリズムの頬をひっぱたいた。

「り、リズム!」

「し、シアン!いきなり何を?!」

『今さっき雪菜に言ったこと、取り消しなさい』

私はシアンが怒っていることに気がついた。

リズムは頬を抑えながらシアンを睨みつける。

『雪菜に心がないって……!雪菜には、ちゃんと心があるわよ!何も知らないくせに、勝手に決めつけないで!』

もしかして、シアンはずっと私たちの会話を聞いていた?

『今度雪菜を傷つけるようなことを言ったら、どうなるか分かってるよね?』

シアンの表情に、私は悪寒を感じた。

『……分かった。取り消す』

『それでいいのよ』

シアンは、私の肩の上に座る。

「出てきて平気なの?」

『平気よ、力は戻ったから』

まだちょっと怒ってるのか、返事は素っ気なかった。

愛羅君は、さっきからじっとシアンのことを見つめている。

シアンの事が珍しいのかな?

『なに?』

シアンは、目を細めて愛羅君に聞く。

「あ、いや。綺麗だなって思ったから」

「え?」

シアンは愛羅君の言葉を聞いて、白い肌の頬を赤く染めた。

『変なこと言う子なんだね、愛斗の弟は……』

シアンは、愛羅君から視線を外した。

『綺麗だなんて……、あいつ以来だ……』

「シアン?」

シアンは『何でもない』と言ったあと私に軽く微笑んだ。