fairy3 空の物語 上

【愛斗】

「くしゅん!」

僕は、タオルに顔をうずめてくしゃみをした。

「愛斗、風邪か?」

隣にいる奏佑がそう聞いてくるけど、僕は首を左右にふる。

「多分違うと思う……」

誰か僕の噂でもしてるのかな?

そんなことを思いながら、僕は汗を拭いて空を見上げた。

「ねぇ奏佑」

「ん?」

「昨日のことなんだけどさ……」

奏佑は、持っていた竹刀を壁に立てかけ僕の隣に来る。

「昨日のことは、俺もよく分からない。だけど、雪菜が無事で良かったよ」

「うん……」

あの後、僕は雪菜をおんぶしながら泉の外へと出た。

外にはみんながいて、雪菜のことを心配していた。

そしてそのまま雪菜の家へと向かった。

雪菜のお母さんには驚かれたけど、雪菜大丈夫かな?

僕は、拳に力を込める。

「でも、結局は雪菜を守ることは出来なかった。僕の方が助けられたし……。僕にもっと力があれば……」

力があれば、大切な人や身近な人、家族だってみんな守れる。

「それは、俺だって同じだ。力があれば、好きな人だって守れる」

「それって、未来のこと?」

「しーっ!」

奏佑は、慌てて僕の口を塞いだ。

「本人が聞いてたらどうする!」

「大丈夫だって、今日土曜日だし、流石に家にいるって」

「いや、分からないだろ?!」

奏佑は、頬を赤く染めて外へと視線を戻す。

奏佑は、小さい頃から未来に好意を寄せていた。

奏佑は、僕達の中で兄って感じの存在で、未来と僕はそんな中で一番末っ子扱いだった。

泣き虫だし、弱虫だし……。

だから、僕は奏佑と雪菜に守られていた。

僕は、それが嫌だった。

だから、お母さんに頼んで剣道を始めた。

少しでも強くなるために――