fairy3 空の物語 上



「着いた」

『楠木』と書かれた表札を見て、すぐ近くにあるインターホンを鳴らす。

「はい、どちら様ですか?」

この声はもしかして。

「こんにちは、雪菜だけど愛斗いますか?」

「ゆ、雪菜?!ちょっと待って、今出るから!」

家の中からドタドタと足音が聞こえてきて、家の扉が勢いよく開けられた。

「ひ、久しぶり愛羅君……」

愛羅君は、じーっと私を見てきて言う。

「久しぶり、全然変わってないね」

「そ、そうかな?」

この男の子は、楠木愛羅(くすのきあいら)君で、愛斗の二つ歳が離れた弟。

だから、今は小学六年生かな?

「そっか、ここに来たのはちょうど二年前だっけ?」

そう思うと愛羅君大きくなったなぁ。

女の子みたいに可愛かった顔立ちなんて、イケメン少年に変わっていて。

まあ、私もお姉ちゃんになるけどさ。

「愛斗なら居ないよ、部活行った」

そっか、今日部活の日だった。

「ならしょうがないか、じゃあまた後で来るよ」

と言いかけたとき、愛羅君に手を握られた。

「家に寄って行きなよ」

「え?!でも、迷惑じゃない?」

「大丈夫だよ。今誰もいないから、それに俺久しぶりに雪菜と話したい」

そ、そんな可愛い顔で言われたら断れないよ。

「じゃあ、愛斗が帰って来るまでね」

「それでいいよ」

やっぱり下の子って可愛いなあ。

私もお姉ちゃんになるけど、絶対キュン死する。

私は、愛羅君と一緒に家の中へと入った。