fairy3 空の物語 上

【優空】

「陽菜」

「あっ!優空!」

俺は、陽菜のお見舞いに来ていた。

「どうしたの優空?元気なさそうだけど?」

「ちょっと疲れててな」

「そうなの?」

首を傾げる陽菜の姿を見た俺は、あの時の沙羅の言葉を思い出していた。

「優空君!あなたは先に逃げてください!」

「な、何を言っているんだ沙羅!」

俺は、沙羅の手首を掴んで言う。

「沙羅、お前は扉に入るんだ!愛斗たちの加勢には、俺が行くから」

「いえ、私が行きます!」

「沙羅!」

「私、もう友達が傷つくところなんて見たくないんです」

沙羅は、苦しい表情を浮かべると言う。

「優空君にだっているでしょ?大切な人」

「大切な人……」

その時、俺の中で陽菜の姿が浮かんだ。

「すぐに戻りますから、優空君は先に扉の中に入ってください!」

「あっ」

沙羅は俺の手を払いのけると、愛斗たちの方へと走って行ってしまった。

その背を見つめながら、俺は扉の中へと入った。

でも、やっぱりあの時無理にでも止めるべきだった。

あの時、ちゃんと引き止めていれば、沙羅は戻ってきていたかもしれない。

……いや、沙羅の代わりに俺が行くべきだった。

「優空、疲れてるなら無理して来なくても」

「良いんだ。疲れているからこそ、陽菜の顔が見たくなったんだ」

「き、今日の優空、いつもより素直だね?」

「そうかな?」

俺は、陽菜に優しく微笑む。

でも、また暗い表情へと変わる。

俺がこうして、陽菜と一緒に会話が出来るのは、沙羅のおかげでもある。

でも、沙羅にだって大切な人や、好きな人だっていたはずだ。