fairy3 空の物語 上

【一葵】

『一葵、またこんなところに居たのか?』

「クロアか、どうかしたのか?」

『雪菜が目を覚ましたそうだぞ』

「そうか……」

良かった。

雪菜は無事みたいなんだな。

『まだ、目を覚まさないのか?』

「……まぁな」

俺の目の前には、ラースが眠っている。

「怪我が酷くて、しばらくは目を覚まさないらしい」

『仕方ないか……。あの時一葵のこと庇ってくれたんだもんな』

俺は、未だに納得できていない。

なぜ、あの時ラースが俺のことを庇ってくれたのか。

なんで、俺のことを守ってくれたのか……。

『目が覚めるまで傍にいるんだろ?』

「あぁ。どっちにしろ、今の状況の立て直すのが先だろうし、闘うことになるのはまだ先だろ?」

『そうだけど、いつでも動けるようにしとけよ?』

クロアはそう言うと、部屋から出て行った。

「動けるようにか……。そんなの、いつになるか分からねぇよ」

俺はあの時、ラースを置いてから闘いに戻るつもりだった。

でも、奏佑がーー

「一葵、お前は未来と一緒に行ってくれ」

「な、何言ってんだよ!お前こそ、未来と一緒に先に戻れ!俺は、アクを一発殴らないと気がおさまらないんだよ!」

俺の言葉に苦笑した奏佑は、気絶している未来を俺に寄越す。

「って、おい!奏佑、人の話を!」

「一葵には、みんなのことをお願いしたい」

「……まさか、お前残る気か?!」

奏佑は、返事の代わりに笑ってみせた。

そんなことしたら、戻ってこれるかどうかも分からない。