fairy3 空の物語 上

『奇跡のリンクを、無理矢理解除した?』

「そんなこと、あのジェネシスで可能だっていうの?」

『……分からない』

あのジェネシスには、まだ分からないことがたくさんある。

だから、下手に手出し出来ない……。

『本当は、ここで今すぐ君を殺したいところだけど、それはまたの機会にしておくよ』

「なんだと?」

『ごめんね。“妹”が、起きちゃった』

「っ!」

その言葉でこの場にいた誰もが察した。

『まずい……、奇跡!今すぐ扉を使ってこの場から離脱しろ!』

「……分かってる!」

でも、奇跡は扉を使うのをためらっているように見えた。

『どうした奇跡!』

「アカツキ、ルルを連れて先に行け!」

奇跡の言葉でアカツキは苦しい表情を浮かべるも、先に扉の中へと入った。

『逃がすわけがない』

アクが指を鳴らした時、黒城が大きく揺れ始める。

「……なんだ?」

「グリード、お前は兄弟姉妹を連れてその扉をくぐれ」

『……分かった』

一葵は、ラースの体を抱き上げ、先に扉に向かう。

そして、奇跡は目の前を見据えた。

「お出ましだ……」

そこには、アクと同じく白銀の髪を持った少女が立っており、前髪の隙間からは真っ赤な瞳を覗かせている。

『やあ、ヴァニティ。おはよう』

『おはようございます。お兄様……』

ヴァニティは、まだ眠いのか目をこすっていた。