fairy3 空の物語 上

「いつから気づいてた?」

「最初は、全然気が付かなかったよ?でも、ふとそんなことを思ったのはあの時かな」

「あの時?」

「私がトラックに跳ねられそうになった瞬間、聞こえたのよ」

望美は、俺の顔を覗き込むと言う。

「“母さん”って」

「っ!」

あの時俺は、とっさに『母さん!』と叫んでいた。

でも、あの瞬間で聞こえるものなのか?

「こう見えてお母さん、耳は良い方なんだよ?」

「はぁ……」

良いほうなんだ……。

「でも、奇跡が“違う”って言いはったら、私の思い違いだったのかなって思ったよ」

「それは無理だな。俺が生まれた時、“奇跡”って名付ければ直ぐに気づくだろ」

「それもそうだね」

望美は、席に戻ると軽く笑う。

「まさか、未来の自分の子供に助けられるなんて思ってもいなかったよ」

「俺だってそうだ。まさか、過去に来て、母さんと父さんを助けることになるなんて思ってなかったし」