fairy3 空の物語 上

「すいません、急にお邪魔しちゃって」

「ううん、気にしないで。でも、ごめんね。せっかく来てくれたのに、雪菜は今友達の家に泊まりに行ってるの」

「そうですか」

なるほど、望美の記憶の中ではそうなっているのか。

さすがオルドだな。

仕事が早い。

「そういえば、名前を聞いていなかったわね」

「小日向奇跡です」

「小日向、奇跡?」

俺の名前を聞いた望美は、軽く首を傾げた。

俺は、あの時代からこの時代へ来る時、俺と関わった者の記憶から俺のことを消去させてもらった。

だから、望美が俺を覚えているということはない。

「あなた、奇跡って言うのね?」

「はい」

「どうしてだろ、あなたの名前を聞くと昔のことを思い出すの」

「っ!?」

『ねぇ、もしかして望美は……』

俺は、その先の言葉を言いかけたシンクを睨みつける。

シンクは、俺が言いたいことを察したのか、何も言っていないように視線を泳がせた。