fairy3 空の物語 上

するとナデシコは、ある部屋の扉の前に立ち止まった。

『ここは、確か……』

ナデシコの部屋だ。

ここで、俺とシアンはよくナデシコと一緒に遊んだ。

今は、誰も使っていないはずだけど?

『ソレイユ』

『ナデシコ?』

ナデシコは、俺を見ながら扉の方に指をさした。

『ここに、何かあるのか?』

俺の言葉にナデシコは頷く。

『僕じゃ、何も出来ないから』

『えっ?』

扉の方をよく見ると、薄っすらと開いていたことに気がついた。

そして誰かが声を殺して泣いていることも。

『ま、まさかっ!』

ナデシコに目を向けようとした時、そこにはもうナデシコの姿はなかった。

『ナデシコ……』

今のナデシコ、幻だったのか?

それともーー

俺は、扉に向き直りゆっくりと扉を押す。

するとそこには、体を丸めて泣いているシアンの姿があった。

『シアンっ!』

『っ!』

俺の声に気づいたシアンは、ゆっくりとこちらを振り返る。

『そ、ソレイユ?』

『っ!』

俺は、シアンに駆け寄り思いっきり体を抱きしめた。

『大丈夫だ。シアン!』

『ソ、レイユ……』

シアンは、俺の服を掴む。

『お前は、用無しなんかじゃない。俺には、お前が必要だ!』

『でも……』

俺は、シアンの顔を覗き込む。

『もう、何の為に闘ったらいいのか分からないよ……』

シアンは、そう言い両手で顔を覆って泣き始める。