fairy3 空の物語 上

「そろそろ行くぞ」

『もういいの?』

椅子から立ち上がり扉のドアノブに手をかける。

「一つ、行きたいところがあるから」

『それって……』

最後に雪菜の方を振り返り、俺は部屋の扉を開けた。

「おわっ?!」

「ん?」

扉を開けた時、目の前に見覚えのある顔が見えた。

「き、君は?」

「……小日向奇跡だ。楠木愛斗」

「な、なんで僕の名前を……?」

「よく知ってるからな」

俺は愛斗の横を通り過ぎ、来た道を戻り始めた。

「いったい誰だろ?」

愛斗が部屋に入ったのを確認した俺は、後ろを振り返る。

「よく知ってるよ、あんたは雪菜を守れなかったからな」

俺は小さくそう呟いた。