fairy3 空の物語 上

「どうかしたの?」

「いや、何でも……」

愛斗の様子は少しおかしかったけど、目の前を飛ぶ二匹の蝶は、じゃれあうかのように舞っていた。

「もしかして、仲間なのかな?」

私は、自然と愛斗の手を握った。

「雪菜?」

それに気がついた愛斗は、私の手を握り返してくれた。

「行ってみる?あの先に」

「うん」

私たちは、手を繋いだまま歩き始めた。

奥に行くにつれて、周りは暗くなり始めて行く。

太陽の日差しが完全になくなった時、周りの景色は一変した。

「わぁ……」

「星がこんなに?」

日差しがなくなったと同時に、私たちの周りに無数の輝きが現れた。

「こんな場所があったなんて」

まるで夜空に浮かぶ星々に囲まれているみたいだった。

しかし、私たちの目の前を飛んでいる蝶は先を進んで行く。

私たちもゆっくりとその後を追った。

そして目の前が光に包まれた時、私たちはある場所へと出た。

「ここは、一体?」

そこは、場所というより空間に近かった。

星空に囲まれた道を通って出たところは、綺麗な水が流れていて、真ん中にある大きな泉を、上から差し込む光が照らしていた。

泉の周りには、小さな光の粒が舞っていて、それはまるで蛍のようだった。

私は、愛斗の手を離し一歩前に出る。

「雪菜、危ないよ!」

「大丈夫だよ」

愛斗の言葉を聞かず、私はその泉に近づいて覗き込む。

遠くから見たら浅い泉のように見えたけど、中は透き通っていて、浅く感じていた泉がとても深く感じた。

落ちたら上がってくるのは難しいと、そう思った時ーー

「きゃあっ!」

「雪菜?!」

泉の水面に、顔を布で覆った人の顔が映った。

「どうしたの?雪菜」

「い、今水面に!」

愛斗は水面に目を向ける。

しかし、愛斗が水面に目を向けた時にはもう何も映っていなかった。