fairy3 空の物語 上

『……くっ!』

私は、部屋には戻らずある一つの扉の前まで来る。

『……』

その扉に手のひらを当て、ゆっくりと扉を押す。

見覚えのある部屋が目の前に広がり、私は部屋の中へと入る。

『懐かしい部屋……』

この部屋は、何も変わらずあの時のままだった。

『よく、ここで三人で遊んだっけ……』

ここは、ナデシコの部屋だ。

今は誰も使っていないのか、床には絵本やおもちゃが転がっている。

『ちゃんと片付けないと駄目じゃない……』

私は、床に転がっていたぬいぐるみを一つ手に取る。

『あの日、私は誓ったはずだった』

ナデシコを死なせてしまったあの日、私は自分の使命を思い出した。

そして、ナデシコのためにも、この世界を守ってアクを倒すと誓った。

もう誰も失いたくない、大切な人に傷ついてほしくなくて、私は雪菜の中に戻って力をためていた。

やっとみんなの力になれると思った。

これで誰も失わず、傷つことはないと思った。

なのにーー

私の手の上に、ぽたぽたと涙が落ちる。

『私……、もういらないじゃん……』

リヤンに全て持っていかれた。

私の使命もリンクも、最後に消えることも全て、あいつに持って行かれてしまった。

『分かってる、今の私じゃあいつには……、リヤンには敵わないってことくらい……』

ここままだと、私がここに居る意味すらなくなってしまう

『……っ』

もう、私は何のために闘いたかったのか分からなくなってしまった。

リンクが出来ないなら、ソレイユたちを守る事が出来ない。

アクを倒すという使命が存在しない、今の私はただの“妖精”だ。

『どうしたらいいのかな……、ナデシコ……』

私は、声を押し殺して泣いた。