fairy3 空の物語 上

「今度空の絵でも描いてみたら?」

「そうしてみる。描けたら、愛斗も見てくれる?」

「もちろん、雪菜の絵は好きだからね」

「ありがとう」

私は、愛斗に笑いかけた。

愛斗も微笑んでくれて、歩き出そうとしたとき私は立ち止まった。

「雪菜?」

「なに、あれ?」

私の指さす先には、青い蝶が飛んでいた。

「青い蝶?」

愛斗は、じっとその蝶を見つめる。

こんなところに青い蝶が居るなんて珍しかった。

いや、ここに蝶がいることじたい初めて見た。

この辺りは住宅街だから、蝶を見掛けることなんてない。

「なんだろうあの青い蝶」

「でも、綺麗だよね」

青い蝶が通ったところは、青い鱗粉が舞っていた。

私は、その青い蝶に惹かれた。

とても懐かしくて、心が温かくなるのを感じた。

「追いかけてみない?」

「え……、でも」

「行ってみよう?」

私は、愛斗の手を掴んで走り出す。

そして、その青い蝶の後ろ姿を追いかけた。

青い蝶は、学校の裏山に向かって行く。

「雪菜危ないよ、暗くなったら道が分からなくなるし」

愛斗は、心配になったのか足を止めた。

「でも、行かなくちゃいけない気がするの」

「どういうこと?」

目の前を飛ぶ青い蝶に目を向けた時、もう一匹の蝶が姿を現した。

「もう一匹?」

今度は、赤紫色の蝶だった。

愛斗は、さっきの私と同じく、その蝶をじっと見ていた。

「愛斗?」

「え?!」

名前を呼ばれて我に返ったのか、愛斗は私を見る。