fairy3 空の物語 上

【アカツキ】

数十年前――

キセキの泉計画の話が持ち上がる前の話だ。

俺は、オルドと一緒にまだ幼かったヴィーナスの元に呼ばれた。

『今日からお前たちを、私の側近に迎える!』

『……』

『ヴィーナス様の仰せのままに』

オルドは、ヴィーナスを心から尊敬し忠誠を誓っていた。

だが俺はまだ、ヴィーナスに忠誠なんて誓っていなかった。

『こんな餓鬼に仕えるのかよ』

俺は、誰にも縛られない自由な生き方を望んだ。

しかし、そんなことを考えていた俺は、渋々ヴィーナスに従うしかなかった。

扉を守るオルド、妖精たちをまとめ、妖精たちの為に案を出すアカツキ。

俺たちの役職はそれぞれだった。

『オルドはいいよな、ただ扉を守るためなんだからさ』

『そんなことない。扉を管理するのは大変なんだぞ』

その頃の俺とオルドの仲はいい方だったと思う。

オルドは俺の愚痴を聞いてくれたし、オルドも悩んでいたことを俺に相談してくれた。

同じ側近として、俺たちはお互いに信頼し頼りあっていた。

『俺が許可だした者以外、ここを通すわけにはいかないしな』

『その方がまだ楽だって、俺は毎日頭を働かせて疲れるわ』

それに、まだ幼いヴィーナスの遊び相手にもなっている。

最近は、人形遊びに付き合わされた。

『そんなことよりもアカツキ、そろそろ例の件の話があがる頃じゃないのか?』

『そうだな』

俺とオルドはヴィーナスの部屋へと向かう。

『お呼びですか?ヴィーナス様』

俺たちは、深々と頭を下げる。

椅子に座っているヴィーナスは優しくこちらを見て微笑む。

『そろそろ、私の後継が生まれそうなんだ』

『そうですか』

ヴィーナスの座を引き継ぐ子は、間を待たずに直ぐに生まれる。

だから、ヴィーナスの座につくものは他の妖精にくらべ寿命が短い。