fairy3 空の物語 上

“好きだ”と言いかけた時、勢いよく部屋の扉が開かれた。

『な、なに?』

『さ、さぁ……?』

振り返ってみると、そこには息を切らしたアスナが立っていた。

それを見た私たちは、体を固まらせた。

『シアン様、どうして動いているんですか?』

『そ、それはえっと……』

気のせいだろうか、アスナの背後に赤いオーラが見えるんだけど……。

『まだ体を動かしていいと、許可した覚えはありませんけど?』

『そ、そうだけど……』

普段、私たち守護妖精に礼儀正しく接してくれてるアスナだけど、怪我や病気のこととなると別だ。

守護妖精でも容赦なく完治するまで付きまとって来る。

『さぁ早く、ベッドに横になってください』

『は、はい!』

私は、急いでベッドの中に潜り込んだ。

それを確認したアスナは、軽く溜め息をつくと、包帯の入った箱を運んでくる。

『いくらシアン様が他の妖精と違って怪我の治りが早くても、完治するまでは外に出しませんから』

『は、はい……』

肩を落とした私は、しぶしぶ頷くことしかできなかった。

そしてアスナは、ソレイユをギロリと睨む。

『うっ!』

『ソレイユ様も、シアン様を動かすような真似はしないでくださいね!』

『じ、十分承知しました……』

『ならいいです。包帯取り替えますね』

アスナは、ソレイユの包帯を解き始める。

私は、その様子を横目で伺った。

そして、ソレイユの傷跡を目の当たりして目を丸くした。

『まだ完全には、塞がっていませんね』

『激しい闘いをしたからな、この傷は跡として残ると思う』

私は、拳に力を込めた。

『今度は、必ずみんなを守ってみせる』

もう、これ以上みんなが傷つかに為にも、私はもっと強くならないと……。

私は、アスナに雪菜のことを聞いてみた。

『ねぇアスナ、雪菜は大丈夫?』

『雪菜様ですか……』

アスナは、浮かない表情をしてソレイユの体に包帯を巻いていく。

『アスナ?』

『実は、雪菜様なんですが』

『もしかして、雪菜に何かあったの?!』

もし何かあったとするなら、グリードと闘った時に見たあの姿。

あれは結局何だったの?

『いえ、大したことではないんですが。傷がですね……』

『傷?』

『雪菜様もシアン様たち同様に、大怪我をしてここに運ばれました。しかし、先程様子を見に行ったら』

『見に行ったら?』

『雪菜様の体から、傷が跡形もなく消えていました』

『っ!』

『な、なんだって!』

あの傷が跡形もなく消えた……?

たしか、前にアクと闘った時も同じことがあった。